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施設長の思い

Facility manager's vision

ICT化による業務改革が進む中で

得られたもっとも大きな効果は

「スタッフの余裕」

介護サービスのDX化

創造と豊かさの実現

介護老人保健施設みどうの杜では、さまざまなICT機器を導入することで、介護サービスのDX化を進め、「介護の仕事を創造しよう」というビジョンを持っています。それは、言い換えれば「介護の仕事を作り直す」ことです。

介護の仕事を作り直したその先に、私たちのめざす
「スタッフ、利用者双方の豊かさ」があると考えています。

ここではわたしたちの取り組みの一部を例示しながら、介護老人保健施設みどうの杜のDX化を検証します。

介護老人保健施設みどうの杜 施設長 宮﨑惠子

導入・運用のプロセス、そしてその効果や影響について

余裕のない業務との葛藤

ICT環境の構築により、業務上のコミュニケーションツールとしてiPhoneを取り入れたことにより、スタッフ間のコミュニケーションが容易にとれる様になりました。

情報共有の不足がもたらす課題はいろいろありました。それに加えて「慢性的なスタッフ不足」、「大規模施設ゆえの移動距離の長さ」。 それらの結果、利用者様とゆっくりと向き合えないという現状がありました。

例えば「今、どこにいるの?」というスタッフや利用者様の所在確認が繰り返される業務。 「利用者様と向き合うことが業務なのに」という葛藤が常にありました。

大きな効果を実感したICT機器の導入・運用

業務効率向上のためにICT機器を導入しようと提案した時は、「効率が良い=ケアの質を下げるのでは?」という疑問や誤解が多くありました。

しかし、実際に様々なICT機器をデモ利用していくと、利用者様のケアのために職員同士で話し合う機会が増え、実際に利用者様と向き合える時間が目に見えて増えました。

また様々な機器の導入にあたり、多くのスタッフからは「人の心が通わず機械的になるのではないか」という不安の声もありました。しかし、今ではICT機器が人の心をつないでくれるとスタッフが実感しています。また、スタッフの心にゆとりが生まれ、その心が利用者様へ還元できているのではないか、と感じています。私たちの理想のひとつとして掲げていた「スタッフ、利用者双方の豊かさの実現」にとって、大きな効果があったものと実感しています。

成功例がもたらすプラス効果

ビジョンを掲げ、目的意識をもって介護サービスのDX化を行うために、まずは2018年電子カルテシステムを導入しました。

書面から電子記録への運用が定着した後、2021年にみどうの杜は大きな転換期を迎えます。Wi-Fiを全館完備すると同時に、ナースコール、ベッドセンサー、介護記録が連動した一気通貫システムの導入です。このシステムの導入により業務改善が飛躍的に進み、「こうすればいいんだ」、「こうすればできる」というデジタルテクノロジーとの共存の手応えを得ました。

『介護ロボット等による生産性向上の取組に関する効果測定事業』の実証施設として認定

こうした取り組みが評価され、2022年には電子カルテを導入したベンダーからの提案により、厚生労働省『介護ロボット等による生産性向上の取組に関する効果測定事業』の実証施設として認定されました。この実証実験では、介護記録を音声入力できるAIアプリを活用した記録業務の改善がテーマでした。実証実験の結果、介護・看護記録のほぼ全てが言語入力可能となり、骨伝導ヘッドセットを通した職員間通話という副産物も生まれました。これにより私たちは多くの先駆的な事例や情報を得るとともに、様々な提案が私たちの元に集まるようになりました。

これらの取り組みが評価され、『スタッフの負担軽減のためにICT、IoTを積極的に活用し、女性が活躍できるよう支援している』とされ、2022年には埼玉県知事より「荻野吟子賞」を授与されました。

荻野吟子賞の詳細はこちら

荻野吟子

なぜICT化が推進できたのか

導入推進のチカラとなったもの

ビジョン、思いの共有

介護DXの実現をすすめるにあたり法人本部とのビジョン共有がカギとなりました。デジタルテクノロジーの積極的な導入ではコストと効果をしっかり見据える必要があり、「効果が見えずらいのでは?」といった懸念や「未知への挑戦」という要素も少なからずあります。

今後の介護サービスの在り方、スタッフ、利用者様双方の豊かさの実現

しかし「スタッフファースト」「チャレンジ精神」という江戸時代から続く法人の姿勢と、前述の「手応え」から法人本部の理解を得られ、計画から導入まではスピード感をもって行えました。その場しのぎの業務改善ではなく「介護の仕事を創造しよう」「スタッフ、利用者双方の豊かさを実現しよう」という二つの思いが推進力となりました。

スタッフの理解と協力

導入推進の力となったもうひとつのカギとして、スタッフの理解と協力がありました。新しい機器への不安や、スタッフごとに異なる技術習得スキルなど課題はありました。それでも、「ICTの力で本来の業務である利用者様と向き合うことができるのでは」という前向きな姿勢で沢山の課題を克服していきました。

プロセス

2013年
タブレット端末を導入し電子カルテの一部導入・運用を開始。
2018年
現在の介護ソフト「ケアカルテ」を導入・運用開始。
2021年
施設内ネットワーク、Wi-Fi環境を見直し、全館Wi-Fiを完備
2021年
見守りベッド(93台)、ナースコールシステム、iPhone(30台)を導入。

ケアスタッフ、ナース一人ひとりがiPhoneを所持しながら業務にあたり、ナースコール、ベッドセンサー、介護記録が連動した一気通貫したシステムを構築。

2022年
AIアプリ「ハナスト」、骨伝導インカム導入。

介護記録・連絡・申し送りが音声入力出来るAIアプリ「ハナスト」と骨伝導ヘッドセット(20台)導入。の導入。介護、看護記録は音声入力がメインに。

2023年
シフト作成AI化、ロボット掃除機、スマートマットによる在庫管理システム、勤怠管理システム、健康管理システム、通所運行管理AIを導入。

懸案であったバックオフィスのICT化に着手。

例 電子カルテの導入

  • 電子カルテ導入前
    これまでの介護現場は、スタッフの経験や価値観などの影響が大きく、新たな取り組みやアイテム導入には強い抵抗感がありました。
    「出来る人、得意な人がやればいいんじゃない」、「今までのやり方でも出来る」という意見も散見していました。
  • 電子カルテ導入後
    電子カルテの導入で作業の効率化を介護スタッフが実感し、また残業減少へとつながりました。
    この事例から、次なるICT機器導入への自信となり、私たちの成功体験ともなりました。
  • そのほかのICT機器の導入
    電子カルテ導入後様々なICT機器を導入しましたが、スタッフの抵抗感は明らかに少なくなりました。前述の成功体験により、「今度はどう効率化できるのか」、「どう使うべきか」と、ベテランスタッフからも積極的に操作方法や運用方法などの質問があり、導入による新たな業務意識が活性化されました。
  • 効果・影響等
    • 現在は介護ソフトで蓄積した情報をもとに自動転記など、書類作成時間が大幅に減少し、時間外業務の減少に寄与。
    • 介護ソフトを活用し、一同集合しての朝礼や、申し送りノートの廃止などペーパーレスにも寄与。
    • 情報の一元化により、多職種間での情報共有が容易に可能に。
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